「一つずつ数えれば読める。
でも、曲になると止まってしまう」
「先生となら読めるのに、一人では読み進められない」
そんな生徒さんを前に、どう伝えたらよいのか悩むことはありませんか。
音符カードを使ったり、教材を変えたり、繰り返し確認したり。読めるようになってほしくて工夫しているのに、実際の楽譜ではうまく使えない。
すると、「私の教え方がよくないのかな」と感じてしまうこともあるかもしれません。
一つずつ確かめて読むことも、学びの途中にはあります。けれど、そこから先へ進むために、音名を覚えることに加えて、分かっていることを使って、自分で考えられる力にも目を向けたいのです。
まず確かめたいのは、その子が「すでに分かっていること」。そこに、次の学びへつなぐ手がかりがあるかもしれません。
「ト音記号は分かる」を、
手がかりに
たとえば、私が指導した生徒に、ヘ音記号が苦手な子がいました。
でも、その子はト音記号なら分かっていました。
そこで私は、分かっていることを手がかりに、読譜のしくみを丁寧に伝えました。
新しい音符を一つずつ、別の知識として覚えていく。その学びに加えて大切にしたかったのは、知っていることを使い、新しい楽譜にも向き合える力です。
「これは知っている」
「それなら、こちらはどうなるだろう?」
そんなふうに、自分で考えるためのつながりをつくっていく。
ヘ音記号が苦手、という困りごとの中にも、指導の出発点になる力はありました。
音の少ない時期に、
育てておきたいこと
導入期は、教えたいことがたくさんあります。
読める音を増やしたい。
リズムも分かるようになってほしい。
曲も進めてあげたい。
けれど私は、扱う音が少ない時期こそ、「分かったことを、ほかでも使える力」を大切にしたいと考えています。
新しい音符が出てくるたびに、先生が一つずつ読み方を教える。
でも、それだけで、生徒が自分で楽譜を読み進める力は育つでしょうか。
「前に習ったことが、ここでも使える」
「知っていることを手がかりに、自分で分かった!」
そんな経験を、音の少ない導入の時期から重ねてほしいのです。
だからこそ私は、何をいくつ覚えたかに加えて、覚えたことを使って、次のことを考えられるかを大切にしています。
すでにレッスンが進んでいる子にも、今、何が分かっているのかを確かめるところから、指導を考えることができます。

音の少ない時期から、応用できる力を育てます。
読む力を、聴く力や
拍を感じる力とつなげる
そして、私が大切にしているのは、読譜だけで学びを終わらせないことです。
音符を読めること。音を聴き、感じられること。拍やリズムを感じられること。
それぞれを、演奏の中で使えるようにつなげて育てたいのです。
音を聴き取ることが得意でも、リズムには難しさを感じる子がいます。その逆の子もいます。
一つひとつの音は合っていても、流れやまとまりとして音楽を捉えることに、まだ助けが必要な子もいます。
だからこそ、「読めない」「うまく弾けない」という言葉だけで、必要な指導を決めることはできません。
その子が持っている力と、これから育てたい力。それらを、どのようにつなぐかを考えます。
目指すのは、音名を答えられるようになる、その先。楽譜から音楽を感じ取り、豊かに表現できるようになることです。
先生が、一人で答えを
探し続けなくてもよいように
一生懸命に工夫してきた方法が、その子にはうまく届かないこともあります。
でも、そのことだけで、ご自分の指導力を否定しないでいただきたいのです。
これまでの工夫も、生徒の反応も、次の指導を考える大切な手がかりになります。
「この子には、何が分かっているのだろう」
「次の学びにつなげるには、何が必要だろう」
私がお伝えしたいのは、こうした問いから指導を組み立てていく視点です。
考え方を、レッスンで
使うための体験へ
「知っていることを使える力が大切なのは分かる。でも、目の前の生徒に、どう働きかければよいのだろう」
考え方を知ることと、実際のレッスンで伝えることの間には、もう一つの学びがあります。
ソルフェージュ「きほんのき」1Dayでは、先生ご自身にも歌い、身体を動かしながら、読譜・リズム・音感をつなげる学びを体験していただきます。
いつもの音符、いつもの教材を、どのように捉え、どんな働きかけにつなげるか。書籍で読んだ考え方をご自身の感覚と結びつけながら、生徒のつまずきを見る視点を深めます。
一人ひとりの生徒に必要な土台を考える、その最初の一歩をご一緒しませんか。

